長い踏切の前に差し掛かると、翔太はゆっくりと自転車を止める。






毎日のように“下りようか”と問い掛けてきたけれど、

その度翔太が“いいよ”と答えてくれていたので



もうあたしは聞かないし下りない。






翔太の広い肩に遠慮がちにそっと手を置いて、

踏切の音にかき消されそうになる翔太の笑い声と、くだらない話に耳を傾けている。






あたしが相槌を打つ時も打たない時も関係なく、翔太の止まらない話は続く。