そういえばいつか、

まだ可愛い後輩だった翔太に猫が好きだと教えたことがあったっけ。






あたしは興奮して、わぁ、と叫びながら翔太の腰の辺りにきつくしがみついたけれど

腹筋の固さに驚いて、

思わず手を離してしまった。





その瞬間、

ぐらりとバランスを崩した自転車が、わーとかぎゃーとか叫ぶ翔太の声と共に、

しばらくの間ゆらゆらと夜の道を蛇行していた。