「帰ろ」






そう言って日誌を閉じながら立ち上がると、彼も頷いた。






居残ってくれるようになった日から、翔太は毎日自転車の後ろにあたしを乗せて、

逆方向のあたしの家までまっすぐに送り届けてくれる。






これといった寄り道もせずに、送るからといってあたしに触れたりもせずに、

あたしが引いた境界線をきっちりと守りながら、部活の“可愛い後輩”として。











カーブの度に触れてくる翔太の、肩先が熱い。






あたしといる時、ほんの少しだけ体温が上がる気がすると、こないだ翔太が言っていたっけ。