「美咲、

日誌終わった?」






部室の床に座って黙々とボールを磨いていた翔太が、あたしを見上げながら話しかけてくる。






「翔太、

“美咲先輩”、でしょ」






「“美咲”じゃダメなのかよ」






「ダメ」






「なんで」






「あんたは後輩。

礼儀でしょ」






「別にいいじゃん、

呼び方なんてさ」






下を向いてすねたように、めんどくせぇ、と呟く翔太に

あたしは小さくため息をつきながら、

「とっくに終わったよ」

と告げる。