朝、



重い足どりで玄関を開ける。


朝早くから、先輩からメールがきたのだ。


『迎えいくから待ってろ』



あんなに嬉しかった絵文字のないメールも、今はただ怖いばかり。



あー…行きたくない…


それに…陸がつけたキスマーク、なんて言えばいいの…。






向かい側の塀のところに、先輩はいた。



スマホで遊んでいて、私に気付いていない。



「せ、先輩………」


私が声をかけると、先輩は私に気付いて大声をあげた。



「お前っ…昨日何してたんだよ!?」



「………っ、」



怖くて声が出ない

いつもは"チカちゃん"って呼んでくれるのに、今日は"お前"だった。




「電話も出ねえし………あ?んだよ、それ…」



私の首を指差す。




「俺…そっち側に付けた覚えねえんだけど」


先輩が指差しているのは、キスマークだった。



「あのっ……これは、」



「お前が昨日、電話出なかったのもソレが原因?」



先輩が、私を壁に押し付ける。


世に言う、壁ドンというやつだ。



「誰と、した?」


「い、いや…あのっ」


「誰としたか聞いてんだよ」


…これで、幼なじみがやったなんて言えば陸が危ない。


でもこのままじゃ私が危ない。


涙が、溢れてきた。