「彼氏が出来た」
私は、陸の前でそう呟いた。
彼は、前野 陸。
家が近い、幼なじみ。
学校が終わって、私は陸の家に遊びに来ていた。
「……は、お前に?」
読んでいた雑誌をおいて、一瞬だけ驚いた表情を見せて、私をバカにしたような顔になる。
「…なにそれ、私じゃ出来ないとでも?」
「そうは言ってねーだろ。つーか、誰?」
「同じ学校の先輩。もうめっちゃイケメンなんだからね!」
「…あっそ、良かったな」
陸はそれだけ言って、雑誌を読み始めた。
私と陸は高校が違う。
なにしろ、陸が頭がいい方ではなかったから。
そういう私も平均点の上か下なんだけどね。
内心、陸と同じ高校に行きたかったけど。