「おい。お前名前は?」


「へ……七世萌(ナナセモエ)……だけど」


思わず声が上ずってしまった。


絶対今、変な人だって思われたよ。


だって、いきなり話しかけて来るからビックリしたんだもん!!
ってか、黙らないでよ。私、そんなに変な名前だった?
そんなに珍しくはないと思うんだけどね。





「あ………あの?」



「……ん。わりぃ。で、お前はいつまでそこにいるわけ?」


この見知らぬ美少年は、口角をクイッともち上げて意地悪そうに笑った。


「…へ?」



「まぁ、お前がそんなにここが気に入ったんならこのままでもいーけど」



見知らぬ美少年の意地悪そうな笑みはヒートアップしていく。



こ…こわい……


ん?でも待てよ?


このままでいいってどういうとこと??



「やっぱりお前、誘ってるんだろ?」


さ…さそっ…………!!


「…って、あー!!」


うそっ!!




ありえないっ!!


なんなの?この体制はっ!!


公園のベンチで見知らぬ美少年に膝枕されている。


なんで気づかなかったんだろう??


とっさにガバッと、起き上がると美少年は笑いを堪えていた。


「な…なんですか?」



すると、美少年は笑いを押さえて。




「ん?いや、何でもない」


美少年はベンチからスッと立ってからこっちへ振り返った。




「じゃあな、萌」



そう言ったかと思うと、いきなり美少年の美しく整った顔が近づいてきた。




…………え?



私の唇に何か生暖かいものが触れた。



「ちゃんと横断歩道渡れよ」



そう言い残して美少年は行ってしまった。