いつの間にかカウンター席に座っていた雪夜はこっちを見て“早く座れ”と目で言っている。
「(言われなくても座るよ、)」
あたしがカウンター席に座ったと同時に、カタカタと音を鳴らすPC
始まったようだ。
白兎のハッキングは生で初めて見る。
いつもここに来るともう用意してあるからだ。
「(おー…はや、)」
5分もしないうちに、奥にあるコピー機から紙が出てきた。
「これが雪人からので、こっちが…俺から」
「「ふざけんな」」
ははは~、と笑って誤魔化す白兎に殺意を抱(イダ)いたのは嘘ではない。
「めんどくせぇんだよ。早く兄貴のだけよこせ」
「人に頼んだ、態度ですかぁ?あげませぇん」
「「……」」
「どうする??」
「…やる」
「はぁ、しかたない」
一気に2つの依頼を受けるのは初めてだ。