「龍馬、ゴメン。もう好きじゃないの。別れて。」
龍馬は、確かにイケメンで私とはちょうど良い身長差だ。
だけど、もう無理。
「俺は好きだよ!お前しか見てないから」
真剣だ。
だけど嘘はやめて。
私は苦笑いを龍馬にし、背を向けた。
教室に戻ると由樹と美佳子がいた。
「あー!しのー。どこ行ってたん?」
由樹だ。いつもの笑顔が可愛い。
「うん、ちょっとね」
美佳子にバレないように、私は由樹にあえて目配せをした。
由樹はすぐに気付き、
「ふーん。まぁ良いけど!」
とニコリと笑った。
さすが親友だ、と思った。
「交換ノートのことなんだけど、私の友達も入れて良いかな?」
美佳子は目ヂカラが強くて、吸い込まれるほど、めちゃくちゃ美人だ。
「平気だよ。」
私は、笑った。
「しの、交換ノート、男子も2人いれるんだけど、誰がいいかなぁ?」
えっ。
交換ノートって、女の子だけでやるもんじゃないのかなぁ。
まぁいいかなぁ。
新しい出会い欲しいし。
「そうだなぁ。でも、誰でもいっかなぁ!」
「ん。わかった〜。じゃぁ、私誘っとく」
美佳子って、あんなに美人なのになんで彼氏いないんだろう。とふと思った。
放課後、門に由樹が立っていた。
「久しぶりにストリート行きたいなぁ」
ストリートは、私の趣味。
ストリートライブだ。
「良いよ」
私は家につくと、すぐにギターケースを取り、由樹のもとへ急いだ。
私は、小さいころからギターの経験があり、まぁそこそこ弾けた。
自慢するつもりではなかったが、由樹にだけは、ストリートに招待していた。
家からすぐ近くの公園。
とても狭いけど、落ち着く。
一曲歌い終わると肩の荷がおりたように楽になった。
「私、しのの歌声大好き。本当癒されるよ。」
由樹は優しい。
「あのね、由樹。私、龍馬と別れたの。」
ニコリとしてみせた。
だが、由樹は驚かなかった。
「私はそれで良かったと思う。だって、あのまま龍馬と付き合ってたら、しのが傷つくだけじゃん。そんなの嫌。」
「そうだよね。ありがとう。」
少し、休もうかな。
彼氏作るの疲れちゃった。
だが、私はまだ、気づいていなかった。