あなたは、もう、忘れましたか?
あの時の、甘くて切ない気持ち...
振り返る。4年前を...


私たちは仲の良い「友達」だった。私からすると、ただの男友達。
だけど、一緒にいると楽しくて、なんでも話せた。

「しの〜。また龍馬と何かあったん?」
大親友の由樹だ。
いつも、私の心配ばかりしてくれる。そんな彼女が私は大好きだ。

龍馬とは、カレカノだった。

スキだけど、龍馬は女好きで、私のことを好きと言ってくれるけど、いつも女子といちゃいちゃしている。

そんな龍馬に嫉妬を覚えていた。

「んー。なんでもないけど、なんでもある」

「はっ⁈何それ!ちょっと日本語おかしかったよ!」
あははっと笑う由樹に感心していた。
私の名前は香坂しの。
由樹みたいに笑うのは得意ではない。
でも、苦笑いだけは得意だった。

「後で話すね。」
私は、にっこりと微笑む。
由樹の前では自然と笑えるのだ。
なぜだかは、わからない。
わからないけど、由樹といるとどこか安心する。


学校が終わり、校舎の前の道を歩き、家にたどり着く。
いつものように、カバンを投げ捨て、すぐ眠りに落ちる。

これが私の生活。

はっきり言ってしまえば、人生がつまらなかった。
強いて楽しいことと言えば、歌を歌うことだった。
だけど私は昔から心臓に病気をもっていて、いつ発作が起きるかわからない状態だった。
だから、いつ倒れてもおかしくなかった。


ある日、
「しの!交換ノートやってみない?」
たしか、この子の名前は佐藤美佳子。
そんなもの、つまらないと心の中で呟いた。でも、人から嫌われるのが嫌な私は
「由樹がいるなら...」
と答えてしまった。
失敗したと思ったが、由樹がいるならやってもいいと本気で思った。
それと同時に苦笑いをした。

「わかった〜!じゃぁ、由樹を誘ってくる!」
そう言って美佳子は由樹を探しに行ってしまった。

その時、廊下を歩いていた龍馬と目が合った。龍馬はニコリとしたが、私は苦笑いでさえもしなかった。
きっと、もう龍馬のこと好きじゃないんだと自分で思った。

後で、きちんと話をしよう。