『アタシはあまり仲良くなかったから知らないのは当たり前だけど、
高校の時に1番仲良かった風華が知らないんじゃ、誰も知らないよ。
紗弓も同じだと思うし』




確かに彩菜の言う通り、当時1番仲良かったと思う。


だけど、今の状況を考えれば、由梨にとってあたしは、都合のいい人間だったのかもしれない。




「そうだよね。
じゃあ、結局は噂でしかないのかな」




少し安心した。


社長令嬢なんて話し、誰もが知らないことである訳がないと思った。




『そうとも言いきれないんじゃない?』




そんなあたしに、彩菜はあっさり言った。




「なんで?」