「あれ?
青山さんは?」
部署に戻るなり、藤井くんが声をかけてきた。
青山さんと一緒に出たのに、1人で戻って来たのを不思議に思ったらしい。
同い年のせいか、藤井くんはあたしに敬語を使わない。
あたしは別に、それを咎めることはしない。
同い年の人に敬語使われるのは、少し嫌だから。
「他の部署の女の子に捕まっているよ。
長くなりそうだから、先に戻って来たの」
だから、あたしも敬語なんて使わない。
「へぇ、そう」
それだけ言うと、黙ってしまった。
戻るなりすぐに声をかけて来たから、用があったんだと思ったけど、気のせいみたいだ。