帰って、すぐにリビングに行く。


「太一」


声をかけると、隅にいる太一は少しだけ顔を上げる。



「お前さあ、音楽好きか?」


太一は相変わらず、無反応。


ただ最近、太一は少しだけ、表情を変えるようになった。


今度は、本当に。


音楽という言葉で、太一の目はくりくりと動いた。


「じゃん。買ってきた」


そう言って、最近流行りの曲のCDを太一の手にもたせた。