「太一…」

息を切らしながら、近づく。


焦点の合わない目で、俺の声のする方を見上げる。


「太一、お前」


言葉に詰まる。

なんて言うべきか。


まだ俺の脳裏には、お袋の笑顔が焼き付いている。


「お前、母ちゃんのこと、好きか?」