太一が座っている場所は、テーブルではない。

部屋の隅に、体育座りをして、座っている。


目の前にの食べ物に、手を着けない。

「そう、いい子」


家内が、なにやらそう言っている。


父親には、状況が呑み込めない。


ただ、リビングのドアの隙間から覗いて、固まっている。

忘れ物を取りに入れない。