嫌な汗が、背中をつたった。 「それから、何にもなく、一年が経ちました。 太一は相変わらずですが、気にならなくなっていました。基本、家のことを家内に任せっきりにしていたのかもしれません」 親父の顔が浮かんだ。 胸がモヤモヤする。 「でもある日、見てしまったんです」 「…何を?」 みずきが急かす。 「家内が、息子相手に喋っているところ」