「いえ。話は大体兄に聞きました。お話します。どうぞ、あがってください。」 狭い玄関を上がるとすぐに、キッチンを通り過ぎる。 四畳くらいの畳部屋に出た。 促されるままに座って、そのうちお茶を出された。 「すみませんね。茶菓子とか、気の利いたものがないんですよ」 はにかんだその顔は、おっちゃんのそれと、似ている気がした。