その日、俺たちは一人の男性を訪ねた。

どうしても、太一の過去を知る必要があった。

妙な使命感みたいなものがあったんだ。



一時間前。

「おっちゃん、弟さんの住所と電話番号、教えて」


「……」


じっと俺の目を見て、頷いた。

おっちゃんは黙って、紙にメモしてくれた。


「おっちゃん、ありがと」


晃さんとみずきも、一緒に行くように、おっちゃんは言った。


玄関を出る際、一言念を押された。


「隼人、逃げるなよ」