「おめさんがいんのに、俺一人で帰るわけにも、いかねえしなぁ」 そう言って、顎のひげのあたりをゆっくりと撫でた。 「お、ほなおめさん、家には帰りたくないんけ?」 「……。」 「黙っちょぉとこ見ると、図星かいね?」 「……。」 「ふぅむ………。」 そう言って、しばらく黙っていたが、おじさんは急に、口を開いて、 くぐもった声ではあるが、ハッキリとこう言った。 「ほんなら、うちに来るかいね?」