「太一、ご飯食べよ」

みずきが太一の手を引っ張っている。

食卓に全員が並んだ。


みんなそれぞれ、好きなように話し、食べる。


普通の、ことだ。



ただ一人、太一は違った。


「太一、唐揚げ、食べな」
「ほら、野菜も」

みずきが太一の皿に取ってあげる。


太一は、黙って食べる。

自分の皿に盛られた分だけ。

好き嫌いもないようだ。
というか、文字通り、

「嫌い」もなければ、「好き」もないようだ。