「でも、あれでフリをやめたよな」
太一がまた噴き出した。
「もうバレてたんだろーし、多分晃兄ちゃんも気づいてたよね。あのとき、あんな気の抜けたまじない言葉聞いたら、続けるの馬鹿らしくなっちゃって」
「確かにな」
「あっけない種明かし、とか思ってるでしょ」
「ちょっとね」
「でも、あの家で救われたのは本当だよ」
「へぇ」
「世の中、捨てたものじゃないってね。人生は、思っているより重いかもしれないけど、世界に比べたら、重くはない」
「中坊が、わかったような口利きやがって」
太一が、また笑った。
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