太一はだいぶ喋っていたような記憶がある。



父親のこと、学校のこと、友達のこと。



「僕、兄ちゃんのこと、よく覚えてたよ」


「そーかぁ?あれから一度もあってないのに」



「でも、良い言葉をくれた」


「なんか言ったっけ?」


知りたがりやの光輝になら、あるだけの知識を話してやったけど。




「僕の目に映る全てのものが、僕次第で僕のもの、なんだよね」


どっかで聞いたことあるフレーズ…


「あぁ、あの呑気な…」

歌の歌詞だ。


「俺の言葉じゃないじゃねーか」



「まぁね」


太一が小さく笑った。