タバコを吸っていたうちの1人が、
横山司。
高校二年だそうだ。


切れ長の目と、オレンジにした髪が、幾分かその人の人格をキツく見せているが、
話してみれば、すぐに溶け込める。


「お前、家出っ子なんだってな」

「家出っ子て、なんだか小さい子に言う言葉みたいなんすけど」

不満をいうと、


「まあ、それでむくれてるようじゃ、お前もまだ小さい子と変わんないって事だよ」

そう言って、笑った。


大抵、こう言われると、不快な気分になるものだが、このとき俺は、妙に納得してしまった。


きっと司さんの言葉の中に、上からものを言う態度だとか、人を嘲笑う気持ちが、微塵もなかったからだと思う。


快活に笑う、気持ちいい人だ。