ニコリと笑いかけてくる、愛想の良い少年。 少し戸惑ったが、見覚えのある顔立ち。 「…太一?」 「そう」 随分と雰囲気が変わった。 前は雰囲気もなにもなかったからな。 「おっちゃんのとこに?」 俺が聞くと、 首を振った。 「学校の帰り道」 なるほど、まだノリのかかった、硬い学ラン。 早いな、俺がそう言うと、 「僕には長く感じられた」 言葉が返ってきた。