「なーにが、むちゃなの。太一は他の景色なら見えてるんでしょ?それが見えていて、人が見えないなんて、そんな可笑しな話はないよ」 「んなこと言うなよ」 「太一、ほら、あたしの美しい顔、見たくない?」 こいつ、大概にしろよ。 晃さんはさっきから、ソファーに座って、本を読んでいる。 「晃さんも、千佳を注意してくださいよ」 人が見えない太一に、あんな遊びに付き合わせていいのか、疑問だった。