この家で、家事を担当しているのが、
中村みずき。
俺と同じ、高1だ。


肩くらいに伸ばした髪は、天然なのか、毛先は緩やかなカーブをおびていて、少し色が薄い。

ただ、眉毛や瞳も薄いので、染めているわけではないことがわかる。


優しい目元が、印象的だ。


「よろしく、隼人」

「よろしく。飯、旨かったよ。」

「ここにきて、だいぶもまれたんだよ。お陰で、家事全般、私の特技になっちゃった」


「何で、ここに来たのか、聞いても良い?」


この疑問は、できれば全員に聞いてみたい。

ただ、中には聞いてはいけないものもあるかもしれない。

だから恐る恐る、口に出してみた。


「私の両親、事故で亡くなったの。
両親ね、家の反対を押し切って、駆け落ちして私を産んだから、親戚とか知らなくてね。」


すごい、現実にそんなことってあるんだ。


「で、一人で葬式もあげられずに、どーすれば、って思ってたら、おっちゃんが私の家に来たの。
聞くと、近所のおばさん達の立ち話で、私の事を喋っているのを、偶然、聞いたんだとか。
何にしても、葬式もあげてくれて、私は当然のようにおっちゃんの家族になったってわけ。」



なるほど、おっちゃんはどんな状況の子でも、困っている子を自分が見つけたら、面倒を見る質らしい。