昔、厚く冷たい氷で覆われている【アイスミーヤ王国】と、熱く炎に囲まれているような【ファイアリード王国】があった。
2つの国は長い間戦いをしてきた。
その戦いの中心となっているのは、アイスミーヤ王国の皇女リリアと、ファイアリード王国の王子カイルだった。
二人には互いに知られてはいけない秘密がある。
それは今から約1万年前のこと_______
厚く冷たい氷の壁。
どんな炎でも溶けないという。
とても熱く真っ赤な炎。
どんな水でも消えないという。
そんな2つの国の物語。
-リリアsaid-
「あーもう!ホントにムカつくはね、あの男は!」
今回のグリーン島の戦いもほぼ互角で引き分け・・・。
まったく、この戦いはいつ終わるの!?
・・・っと、私はアイスミーヤ王国の姫、リリア。
私が14歳の時(だから・・・3年前かな?)に両親が病気で他界しちゃってこの王国を私が治めているの。
今は隣の国、ファイアリード王国との戦いから帰ってきたところ。
ファイアリードを治めているのは私と同じ17歳のカイル。
その男がすーーーーーーっごいムカつくの!
スキあれば私に近づいてくるし、私たちの行動をあざ笑うかのように見てくるし・・・とにかくムカつく!
けど、見た目がすごい良いのよね・・・。(くやしいけど)
背が高くて、これ以上黒い物は無いんじゃないかって位の黒髪。整った顔立ちで、国中の女性たちからモテモテみたい。
そんな男との戦いの理由は不明。それはカイルも同じみたい。
親同士が戦ってきたからそれを受け継いでるって感じ。
せめて理由さえ知れれば、こんな戦い止められるのに・・・・。
-カイルsaid-
「あ~今日も笑った、笑った」
やっぱリリアは見てて飽きねーな。
俺に勝とうと必死だし、俺がちょっと肩に触れただけで耳まで真っ赤にするし。
それにしても、戦いの理由がわからないんじゃあ決着は付かないだろう。
まあ、あいつを見てるのは楽しいんだがな。
「カイル様。何かいいことでもあったのですか?」
いろいろ考えていると顔が緩んでいたようで、執事のハリスに話しかけられた。
ハリスは昔からこの城に仕えていて、おそらく60代前半であろう老人だ。しかしその見た目とは裏腹に、戦いではとても活躍してくれている。
本来なら執事とかが戦いに出ると死んでしまった時に困るのだが、俺たちは【ある条約】を結んでいるから平気なんだ。
それにしても・・・。リリアにはまいるな。
毎日のように俺に貢いでくる国民の女たちとは比べ物にならないくらいの美女だ。
とても綺麗な茶色のふわふわした髪、白い肌。それに細くて華奢なくせに出るとこは出てるんだよな。
そのおかげでアイツの兵士たちだけでなく。うちの兵士たちまでアイツに見とれている。アイツ戦いの時の服は露出度高いからな・・・。
それになんかいいにおいするし。香水でもつけてんのか?
「まあな」
そう適当に答えて、ハリスが持ってきたコーヒーを飲んだ。
「今夜は満月・・・・か」
-リリアsaid-
ガチャ
「ふぁ~・・・」
私は寝癖がついたままの髪で食堂へ入った。
テーブルには私の朝食が置いてある。
テーブルは20人くらいが座れる大きさだ。
スッ
「・・・っ!」
私は背後にいた男に向かって氷の剣を突き刺した。男はそれをいとも容易く避ける。
「私の背後に無言で立たないでよ!」
「すみません」
私の背後にいたのは私のナイト・ライク。ライクは小さいころから一緒にいる、いわゆる幼馴染ってやつなの。無口で無愛想だけど、ちゃんとカイルやその兵士たちから守ってくれる。
「おはようございます、リリア様。早めに朝食をお食べください。午前から会議が入っておりますので」
ライクは手帳を見ながら言った。
はっきり言って面倒くさいな・・・。さぼろうかしら・・・。
「リリア様、今日の会議はとても重要ですのでくれぐれもサボろうなふぉとは考えられませんように」
「ぅっ・・・」
こいつにはなんでもお見通しみたい。
「わかったわよ!出ればいいんでしょ!?出れば!」
私はそう言い放ち朝食を食べた。
「ではリリア様、お願いいたします」
「そうね。あなたの考えも良いんだけど、それだとこっちの問題にも関係するからもう少し考えたほうが良いわね」
「わかりました。ではこちらは・・・・・」
「えぇ・・あと・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「あ~疲れたーーー!」
会議は五時間も続き、私はベッドへダイブした。
コンコン
誰かしら。
「ライクです」
「開いてるわよ」
「失礼します」
私の返事を聞くとライクは紅茶を持って入ってきた。
「お疲れ様です、リリア様。今日の会議は順調でしたね。リリア様もダイブらしくなってきましたし。」
「ちょっと・・・どういうこと?」
こいつはたまに毒を吐く。まったく、私が幼馴染だと思って・・・。
私はライクの持ってきた紅茶を飲んで一息ついた。
「ねえ、ライク?」
「はい」
「なんであいつは平気なのかな?」
「・・・さぁ?」
「・・・」
私は無意識に自分の肩に触れた。