私は生徒で貴女は先生。
越えちゃいけないこと
分かっていても抑えられないの…。
どうしたらこの気持ち
静まるのかなー…?
今日から新学期。
高校生活も残りわずか。
そんな緊張よりも胸が高鳴っているのは
多分、目の前にいる先生のせい…。
私、碧美優。
見た目は身長低いし童顔のせいで
中学生に今だに間違えられる…。
今は新学期始まって早々体育の授業。
目の前で挨拶している先生に
私は目がハート状態って訳で!!
だってだってこれがまた
ものすごーっくかっこいいんだもん!
「大川隆哉だ。来たばっかりで
分からないことばかりだが、一年よろしく!!」
ニコーッと笑った顔に
きゅん死寸前のわたし。
見た目は20ぐらいに見えるのに
歳を聞くとなんと29歳。
高校生の私達からすれば
おじさん?になるんだろうけど
見た目が若いせいか
お兄さんって感じ!!
ボーッと先生を見ていると
「…っゆ!みゆっ!!」
肩を叩いてくる友達の永沼さやかの
手によって我に返る…。
『へ!?なに!?』
周りをキョロキョロとしていると
前の方から咳払いが聞こえた。
「えーっと?自己紹介…お願いできるか?」
『えっ!?私!?なんで!?』
きょどる私に隣でさやかが
バカと呟くのが聞こえた。
よく聞けば周りの子達も
クスクスと笑っている。
なに!?えっ!?
「自己紹介!お前でとまってんだぞ!」
先生の言葉に
皆の視線が私へと向く。
『あっ!私、碧美優です!!
えーっと…よろしくです!!』
頭を下げると次の人へと
自己紹介がうつったのを確認し、
私は安堵のため息をついた。
体育初日は自己紹介だけで終わった。
「みゆってばほんとバカ!!」
昼休み、さやかに笑われて
頬を膨らませて拗ねる私。
『だってさ!先生がかっこよかったんだもん〜っ』
拗ねる私に、あははと笑ったさやかに
むうっと精一杯に頬を膨らませて拗ねる。
「確かにかっこいーけどさ?
なーんか私は無理なんだよねー」
『どーしてぇ?』
「どーしてって…。なんか裏やばそうじゃん?俺様っぽいってゆうかさー?」
『そこがいいんじゃん!!』
さやかの言葉に即答したら
またさやかが笑いだした。
なんで笑う?
私おかしなこと言ってないと思うんだけどな…。
「みゆってばさー、どこまでMなの!?」
『えっ、Mじゃないー!!』
「はいはい。喜ばない喜ばない」
からかってくるさやかに
不機嫌オーラをかもし出しているとー…
ーーーーー「三年A組碧美優。三年A組碧美優。職員室まできてください。」
放送が鳴り響いたー…。