午後六時過ぎ。

家の電話が鳴った。
私の家の人はみんなケータイを持っているので、あまり家の電話は鳴らない。

ずっと勉強していたこともあり、静かな空間に突然鳴った電話の音にちょっとびっくりした。

「はい、もしもし」
「井上愛実さんですか？Ｓ救急病院です。」

慌てた様子の電話の相手は、きれいな声の女の人だった。

「ご両親の車が飲酒運転のトラックと衝突し、現在とても危険な状況です。すぐにこちらに来て下さい。」

事故…？
事態が飲み込めないでいると、相手はさらに続けた。

「先程タクシーを井上さんの自宅に向かわせましたので、」のタクシーで来て下さい。」

ガチャリと受話器が下ろされ、私は立ち尽くしていた。