それに気が付いたのは、あの日から一週間が過ぎた頃。
「もう一回言うけど、俺と付き合ってくれない?」
その間、一緒に寝ていてもアツシは一度も私に手を出す事は無かった。
それは……本当の愛情だって思った。
いつまで一緒にいれるかなんて分からないのに、それでもその手を握って頷いた私を優しく優しく抱いてくれたこの日を心に刻み込む。
今度こそ、愛されるんだと。
堕ちていた崖の片隅に、違う世界へと抜ける横穴があったように感じた。
私は……これ以上堕ちる事の無いように、夢中でその新しい道へと手を伸ばす。
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