遠くから声が聞こえる。
どれくらい暴行されていたのか分からないけれど、遠く耳に響く声。
「コウキ!お前何やってんだよ!!」
あぁ。
……ツカサ、だ。
動かない体を無理やりに向けると、駆け寄るツカサと他のホスト。
私は……。
これはまだ生きろっていう事なの?
そう思った。
全身に走る深い傷を手でかばうようにして、よろよろと歩き出す。
「あやちゃん!?送ってくって!!」
そんなツカサに「いらない」と言って。
まだ、生きなくては……。
私はケンに逢うんだから。
約束……したんだから。
家への道のりを一人、何度も転び、ボロ雑巾のようになりながら、ただ歩んだ。