自分で分かっている事でも、他人に言われると何故か納得してしまう事ってあると思う。
マサトとの会話が正にそうだった。
私、何でコウキと付き合ってるんだろう?
寂しさを埋めるつもりだった。
なのに今の私は……。
「来れないってどういう事だよっ?」
「今日お店ヒマだったから……」
「あやってそんな冷たい奴だったんだ」
日に日にキレやすくなっていくコウキに、ただ怯えて過ごしていた。
そうだね?
こんなのおかしいよね?
本来、ストレス発散の為に行く店だったはず。
それなのに今の私はお店のダンスホールで、教えられたジルバを無表情に踊る。
それも忙しいコウキを待つ間、何の興味も無い他のホストと……だ。
それって……私のしたかった事?
いつの間にか
「俺の本命はあやだから」
そんな言葉に絡め取られて身動きが取れなくなっていた事に……ようやく気が付いた。