しばらくして、担任の先生が教室から入ってきた。

「おはようございます!皆さん席について下さい」

立って話をしていた子達が、先生の言葉に、おはようございますと挨拶し、すぐに自分の席に着席した。

「私は、この１年B組の担任の、佐々木晃と言います。皆さんよろしくお願いします。」

若い男性の先生で、色白で男前な顔の先生だ。

「私は、このクラスの副担任の、野沢優子です。よろしくお願いしますね」

優しそうな、美人の先生が素敵な笑顔で挨拶する。

なんかイケメン先生と、美人先生とか、東京レベル高いなーなんて呆気にとられた。

「皆さん、出席をとりますので返事をして下さい」

佐々木先生が、出席を取り始め、皆返事をしていく。

「黒崎香奈」

名前を呼ばれ、思わず急いで返事をする。

「あっはい」

先生に笑顔でよろしくと言われ、頭を軽く下げる。

「えー次、桜木咲也」

「……はい」

気だるそうに、隣の席の男子が低い声で返事をした。

桜木くんと言う人は、声がとても素敵で、中性的な綺麗な顔をしていて、誰も近寄らせないオーラを出していた。

不思議と視線が彼の方に向いてしまう。

生まれて初めて、こんなにも綺麗な人を見た。

住む世界が違うなと、無意識に感じた。

こんな地味で、暗そうな私なんかと、彼となんて仲良くなれるわけないし。

そう思ってしまい、勝手に落ち込みながらも、気にしない様にしようと手をぎゅっと握る。

癖みたいなもので、よく自分の手をぎゅっと握ってしまう。

自分を励まそうとしている時に、無意識でやってしまう事が多いからだ。

それだけ自分が弱い人間だということか。

強くならなきゃな。

またマイナス思考になりながら気持ちを強く持とうとする。

とりあえず、かっこいい人や、可愛い人が多いんだなと改めて思った。

本当にレベルが高いな都会は。

私は私。

とりあえず言い聞かせないとやっていけないな。