「ずっと、待っていてくれたんだね」

―退院の日。

アタシは、逸る気持ちを押さえながら、タクシーに乗り、智哉のもとに向かった。


メモに記された場所は、都内の病院だった。

「えっ、なんで?」

アタシは、急に不安になる。

確かに、智哉はココにいた。

親切に、看護婦さんが病室まで案内してくれた。


そう、確かに…

この部屋で智哉は、白血病と闘っていた。一週間前まで…。


「智哉くん、いつも貴女のコトを話していたわ」

「『オレと恋華は出逢う為に生まれてきた』なんて、臭い台詞も言っていたっけ」

そういって、看護婦さんはハンカチで目頭を押さえた。

「あと、手紙を預かったのよ。この日の為に…。はい」

恋華は一通の手紙を渡された。