「えぇ、恐らく間違いないわよ。サッカー部内ではともかく、部外者にも広まってるんじゃないかしら」

「へぇ……。そうだったんだ……」

最悪な展開だ。俺にとっても平泉にとっても。

ようやく藤沢が一口目のフルーツポンチを食す。炭酸が抜けてしまっていたようだ。顔がそれを物語っている。

「あ、そうだ。嶋村君、アドレス教えて?いいでしょ?」


俺はその時何故かすんなり承諾した。初対面、さらに上級生、さらにさらに女性であるのに。

考える余地が無かったと言い訳するべきかなんて思ったのは後々のことだ。

俺は平泉の目の前で平然と赤外線通信を行った。