藤沢は買ったフルーツポンチを全く口にせず話し掛ける。俺はというと呪縛から解き放たれるをひたすら待った。

「貴方は部活に入ってるの?」

「いえ。帰宅部です」

あら、そうなの。と決して驚いていないと分かり切った表情でこちらを見る。

「私はサッカー部のマネージャーしてたの。とても大変だったわ」

俺はサッカー部のことは解らない。この藤沢って人が途中で辞めたのか、もしくは任期満了なのか。凄さも全く理解出来ないでいる。


「二年って言えば、加賀村くんと原田くん。あの子たち格好良くて上手いのよね」

自慢なのかはっきりしない言い方だが初めて聞いた話なので少し驚く。

加賀村って上手かったんだ…。

「えぇ。とてもよ。でも加賀村くんは顔が…ね?しかも原田くんは彼女出来ちゃって人気が落ちちゃってるのよ」

意外に意外だった。だがもっと意外だったのは俺より反応した人がいたからだ。

「え?原田くんが…?彼女を……?」

平泉が藤沢の後ろに立っていた。