今度は平泉ではなかった。

何処かで見たようなそうでないような…ぐらいのいわゆる見知らぬ人物だった。上履きや振る舞いからして上級生である。

俺と同じ白玉団子フルーツポンチ覚醒版を持っていて、何の躊躇いも無く俺に話し掛けてきた。

「あら、奇遇ですね。同じの食べてるなんて」

「えぇ。まぁ…」

「私は三年二組の藤沢祐希です。あなたは?」

「二年の嶋村です…」

どことなく俺の口調が覚束ない。と言うより蛇に睨まれたような息苦しさがある。

巨大焼そばを食べに行った花に導かれるように去っていった蝶を捕まえようとするのに精一杯なのに、他の虫なんて只の蟻にすぎない。

だがこの蟻は死にかけの虫にまとわりつくように、俺に質問攻めをしてくる。