「ちょっと、そこのお兄さん」

四十歳くらいの女性が尋ねてきた。

「三番線は何処かいな?うち地元なんやけどこういうの弱くて仕方ないんよ」

「それならこの道を真っすぐ行けば着きます。さっき乗ってきた新幹線でしたので」

女性も東京方面に用事があるのだろうか。

そう思っていると、逆に問われた。

「お兄さんはこんなとこに何しに来やはったん?」

「ある人に会うためです」

「彼女さん?」

「いいえ…」

「でも大切な人なんでしょうね。真剣さが伝わってくるわ。ではご親切にどうも」

厚化粧がインパクト大だったがいずれ忘れてしまうだろうに。