「ははっ。ま、頑張りなよ。厳しいけどね」

俺の心の田園地帯で、刈り取られるはずの稲穂の中で一本だけ残されたようなもどかしさが残る。

百七十五、六ある身長が、彼女ら二人に負けている気がした。

「んじゃあたしら着替えてくるね。嶋村くんも着替えてきなさいな」

そういえばもう五分で次の授業が始まってしまう。体育館からは近い教室だが急ぐ必要がある。

「あぁ、そうだな」

遠藤さんは手を振り、平泉さんは会釈しながら更衣室に入っていった。