でもやはり先頭のグループに入り込んでしまう。一、二メートル内を走る女子に対するハンデなんて関係ない。

加賀村や原田もサッカー部であるため、鍛えられたスタミナや脚力のお陰で先頭のグループにいる。 

蒸し暑い体育館の中を快速の新幹線のように走っていると、上り坂を座り漕ぎで進む自転車並の遅さを維持している人間がいた。

セミロングを束ね、ポニーテールにしている。綺麗なうなじをあらわにして。

平泉だ。


へぇへぇ、と荒いようなそうでもないような息継ぎをして、顔にかかる汗に濡れた前髪をかきあげる。

次第に俺のペースが落ちてきた。疲労ではなく魅了されて。