「おーい、原田。何油売ってるんだよ。手伝え」

見慣れない眼鏡の男子が呼んでいる。

「あぃ、今から行くさ。んじゃ、また明日にでも」

「悪いな。貴重な時間割いちまって」

賀田村の返答だ。

「良いってことさ。じゃね」

韋駄天の如く彼方に走り去ってしまった。

「あたし達も行こうか」

「うん。あ、嶋村君と……隣の人、バイバイっ」

手を振って俺もさよならを演出した。隣の人は名前を呼ばれず不機嫌だった。




帰り道。川沿いの歩行者専用道路を自転車を押して進む。

「俺が思うに」と賀田村は話し掛ける。