悟に半分抱きかかえられるようにして、控え室を出た。
その瞬間、誰かが音もなくそばに来て。
反射的に顔を上げた。
瞬間的に心臓が凍りつく。
タケルだ。
恐れていた瞬間は、避けさせてくれなかった。
外で待ち構えていたに違いない。
一瞬止まった心臓が、今度はバクバクと波打ちだす。
ダメだ。
恐怖心が、きっちりと植えつけられてしまっている。
真顔。
綺麗に整った顔。
潤んで見える、大きな瞳は、キラキラと、闇の入り口を覆い隠している。
その目を、すっと細めた。
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