蓮の優しい所も、笑顔も、全部好きなの。
蓮の事を好きな女の子はこの学校に沢山いるんだ。
それでも…私は蓮が、泣くほど好きなの。
あの、蓮と私の間に入ってきた後輩の子は本気だ。
本気で私から蓮を取るつもりなんだ。
あれから、良い雰囲気の時ばかり…
あの子に邪魔されるようになった。
泣いても、泣いても、蓮が好き。
あの子が、私たちを邪魔するようになってから…
半年後、私は遂に決意した。
私が蓮を諦めるしか方法が無い事に。
泣いて、泣いて・・・・
沢山の辛い想いを笑顔に押し込めて。
そして、蓮と過ごした日々を思い出して、切なくなったけど、もう、決めたから。
「蓮、さよなら」
「え・・・?」
教室の後ろに置かれたバックには私が蓮からもらったものが全部入っている。
思い出も記憶も全部、持って行って。
「バイバイ、高橋くん。」
嘘、だ・・・さくら・・・
もう一度、名前で呼んで・・・・
いつもみたいに、蓮って呼んで。
高橋、って呼ばないで。
俺の気持ちは、さくらに伝えきれなかったのかな。
邪魔されても、さくらの気持ちは離れて行かないって思って
いたのは、俺の単なる思い上がりだったのかな・・・・
待って、さくら、俺を置いて行かないで。
次の日からさくらは本当に余所余所しくなった。
もちろん、俺より学校に来るのが早くて、朝練に参加していたし、
直接、さくらに迎えは要らない、って事を言われた気がして胸が痛くなった。
さくらと目が合うたびに俺は期待するけれど、逸らされる。
「バイバイ、高橋くん」
―そう言った昨日のさくらの表情が頭から離れない。