「私はともかく、紗季は感謝されておけ。秋穂さんを助ける切っ掛けになったし、事実上成功したんだしな。」
「本当に、ソウルチューンに選ばれた時は大変な事に巻き込まれたと思ったけど、紗季ちゃんや加代ちゃんや…もう一人の仲間と出会えて良かったと思うわ。」

そう言って奈都が笑顔を見せると、頼子と紗季も頷く。そこへドアがノックされ、見舞いを持った等々力を従えた加代がやってきた。

「奈都様。お母様が御回復されて良かったですわ。私も心よりお喜び申し上げます。」
「加代ちゃん、ありがとう。母も間もなく戻るわ。」
「坂田家より心ばかりですがお見舞い申し上げます。」
「等々力さんもわざわざありがとうございます。ご当主に宜しく宜しくお伝え下さい。」
「かしこまりました。私は車で待機しておりますので失礼致します。」

高級フルーツの籠を渡すと、深々と頭を下げて病室を後にする。

「はぁ~。あれが執事っていうお人かいな?ほんまにおるんやな~。」
「坂田家の執事であり、私の御付きでもある等々力と申します。紗季様もどうぞお見知りおき下さいね。」
「加代ちゃんは可愛い上にお嬢様かいな~。似合うわ~。機会があったらお家もいっぺん見てみたいな~。」

早速、加代を抱き締めて撫でながら紗季が言う。

「何時でも歓迎致しますわ。あの…私を子供扱いなさらないで頂けませんか?」
「子供扱いなんかしてへんよ?可愛いから愛でとるだけやで?」
「はぁ…」

なすがままになりながらも、困っている視線を頼子に向ける。

「紗季。そのくらいにしておけ。本人が嫌がっている事をするな。それでなくても加代は、家でも溺愛されているんだ。」
「そうなんや~。わかるわ~。…せやな!ウチもなるべく気ぃ付けるわ。でもたまには勘弁してな?」