「いややわ~…もう、この親子は…めっちゃ感激してもうたやんか~。ほんま、おおきに~。」

泣きそうになりながらも笑顔で応える。

「紗季ちゃんも親御さんと離れて寂しいだろうけどね、これからは此処を我が家だと思ってほしいな~。」
「そうだぞ、遠慮はいらん。まぁ大した事もしてやれんと思うがな。」
「十分やわ~。疎いとこもあるけど、そういう然り気無いとこで補ってるんやな~。」

こんな時でも一言多いのがたまに傷だが、紗季なりの照れ隠しなのだろう。

「今日はお疲れ様。紗季ちゃんも頼子もお風呂入って早く休みなさい。疲れただろう?ご飯は出前取るから。」
「奈都が居ないと我が家は食事もままならん。」
「ウチ、作れんで?何か簡単なもんでええんやったら作ろか?」
「紗季ちゃんは一番疲れてるんだから気を使わなくて良いんだよ~。頼子、出前いつものとってくれ。私はお風呂沸かしてくるよ。」
「あぁ。分かった。」

疲れてたのか、それ以上は反対もせずに紗季は頼子の後に続いて家に上がった。

「なぁ、頼子。ホンマにこのままみつきさんの身体と戦う事になってもええんか?今は生き霊やし器に中身を戻す事は出来るわ。そやけど体を取り戻すのに無傷では無理やと思うで?」
「では仕方ない。なるべく生命の危機にならない程度にするしかないな。」

淡々と出前のメニューを捲りながら応じて電話をかけ終えた。

「……頼子。自分は達観してるんか冷静なフリをしてるんかウチには読まれへんわ。」
「アレはね~冷静でいようと自制してるだけだよ~?」

背後から頼良に言われ、紗季は驚いて振り向く。

「14才になったばかりの子に達観されたら親の立場がなくなっちゃうよ~。」
「そりゃそやけどな~。ウチもまだまだやし。早よう目標達成したいわ~。」