今は数学の時間なのに

授業なんて全く耳に入らなくて

頭を抱えて、

また溜め息をひとつ。


「溜め息ばっか吐くな、うぜぇ。」

それは隣の席から聞こえてきた言葉。

発した人物は

関わったこともないクラスメイト。


「…すみません。」



席替えを先週したばかりで

彼がこうして登校している姿を見たのは

初めてだった。



なんだ、この人来てたんだ。


いわゆる不良の部類に属する彼は

あまり学校に来ない。

1年の頃は違うクラスだったし、

彼と会話するのは初めて。
とはいっても、

あたしの謝罪の言葉に彼は何も答えなかったけど。