潰れた工場、枯れた木、落ちている瓶や缶。



俺達はこのいかにも不良の溜まり場っぽい所に連れてこられた。




正確に言うと付いてきた。




別に逃げようと思えば逃げられた。




けど美景はおとなしく付いていった。




俺も美景を止められるわけなく付いてきた。



本当にこいつ何考えてんだ。




そんなこと考えていると不良さんたちが口を開いた。




「おい姉ーちゃん。病院代出してくれよ。それか体で払うか?姉ーちゃんかわいいから高くつくよ。」



ベタすぎる...。



しかもここまでくる意味あったのか?




「ごめんねーお金もないし、お前たちみたいなキモ男に抱かれるくらいなら死んだほうがまし。」




「姉ーちゃんなめてんの?女の子だからって手加減しねーよ?」




「どうぞご勝手に。」




美景は挑発的な言い方を繰り返す。



何やってんだかこいつ。




男の方も女にこれだけ言われて黙ってわいない。




「あ"ぁ?てめぇホント調子こいてんじゃねーぞ?!おいやれ。」




一人の男の声で隣にいたやつが美景に殴りかかってきた。




本当に男は手加減なんてしていない。




美景は何考えてんだよ。




このままじゃ殴られるってのに、避けもしないでその場で突っ立っている。




はぁー。




パシッ。




『やめろ。』



俺は美景の前へ出て男の拳を手で受け止める。





「お前女の前だからってカッコつけやがって。痛い目みるぞ。」




『やってみろよ。できればの話だけど。』



男は当然また殴りかってきた。