寒いのか、ぶるぶる震えている。


「……あの……やっぱり……」


消え入りそうな声。


「——バカ。本気にするなよ。

パジャマ着ろ」

「……」


さっと沙稀の頬が紅潮した。


「じゃあ、どうして……」

「……寒いだろ、入れよ」

「……あたし、ソファで寝ま……」

「布団がこれしかないんだ。風邪引くだろ」


沙稀の声にかぶせてそう言って、また背中を向けると。

しばらくして、そっと布団の端にもぐりこむ気配がした。


(——クソッ)


何に腹を立てているのかよくわからないまま。