俺はあえて病名は聞いて来なかった。
だけど、俺はタバコも吸ってたんだし
どうせ癌かなんかだろう
「ーッ」
ーコンコン
「望?母ちゃんだよ」
ドア越しで母ちゃんが俺に喋りかけている
「母ちゃんね、望はずっと生きていてくれると思うの」
うざい。キレイ事が一番嫌いだ。
「母ちゃんね、望が息子で良かったと思うんだ」
俺の事なんかほっといてくれよ。
「望は確かに悪い事たくさんしたけどね、でも母ちゃん知ってるんだから」
ー…。
「誰よりも真っ直ぐに優しくて不器用な子よ」
ー…。
俺は今になって気付いた。
泣いてなかったんじゃない
俺は最初っから泣いてたのに
気付いてなかったんだ。