「顔、真っ赤」

「う、うるさいっ」

気だるげな瞳に吸い込まれそうになる。

あたしは慌てて視線を反らした。

龍は何がしたいの!?

全く分かんない……!!


会話が途切れて、また静かになる。

遠くから運動部の掛け声が聞こえる。

でも、それも聞こえなくなるほどあたしの鼓動が大きく速く脈を打つ。

龍に聞こえてないよね……?

あたしはちらっと龍を見た。

龍はふっと微笑みを見せた。

そして、龍はそっとあたしの髪に触れてきた。

「綾菜って、髪長いな」

「そ、そう?」

まぁ、確かにみんなより長いなとは思うけど……。